国旗の色の意味とは?

国旗クイズ

「赤=情熱」だけじゃない世界観と色彩のメッセージ

国旗――それは国の「顔」とも言える存在です。
シンプルな色と図形で構成されていながら、そのデザインには歴史、文化、信仰、そして国民の想いが濃縮されています。

中でも「色」は、国旗におけるもっとも重要な要素のひとつ。
世界の国々はそれぞれ、自国のアイデンティティを「色」で表現しようとします。

「赤は情熱」「青は自由」――そんな印象を持っている方も多いかもしれませんが、実際にはその意味は国や文化圏によって大きく異なるのです。

今回は、そんな“国旗の色の意味”に焦点を当て、世界各国のカラーコードに秘められたストーリーを読み解いていきます。


「赤」が意味するのは“情熱”だけではない

赤は、国旗において非常に頻繁に使われる色です。
情熱・勇気・血・愛国心・革命・犠牲――国によってその解釈はさまざまです。

  • 日本:日の丸の赤は太陽そのものを象徴。情熱ではなく、生命と純粋さを表現しています。
  • トルコ:赤は、建国の際に流された烈士の血を表しており、信仰と民族の誇りが込められています。
  • 中国:共産主義国家である中国では、赤は革命の色。五つの星は人民と共産党を表し、赤は団結と闘争の歴史を象徴します。
  • スイス:赤地に白十字の国旗は、「勇気と中立」を意味し、国民の団結と人道的理念を表します。

このように「赤」は、戦いや血の記憶を表す一方で、太陽や希望を意味する国もあり、その背景を知ることで見え方が大きく変わってきます。


「青」は“自由”?それとも“忠誠”?

「青」もまた、世界の国旗でよく使われる色のひとつです。

  • フランス:トリコロール(三色旗)の青は「自由・平等・友愛」のうちの自由を象徴しています。革命と市民の解放の精神を反映した色です。
  • アメリカ:星条旗の青は、正義・忠誠・信念を表す色。青地に50の星が描かれ、連邦の結束と理想が込められています。
  • イスラエル:白地に青の2本線とダビデの星。青はユダヤ教の神聖な布「タリート」を表しており、民族と宗教の一体感を示しています。

同じ青でも、自由への願い、信仰への忠誠、そして国民の団結を意味することがあるのです。


「緑」は“自然”ではなく、“信仰”の象徴になることも

緑というと、日本では「自然」「平和」「癒し」といったイメージがあるかもしれません。
しかし国旗における緑は、それだけにとどまりません。

  • サウジアラビア:緑はイスラム教の神聖な色。アラビア語の文字と剣と共に描かれ、信仰と統治の厳格さを示します。
  • ナイジェリア:中央の白は平和、両側の緑は農業と豊かな自然資源を表しています。
  • ポルトガル:革命後の新政府によって採用されたこの緑は、「希望と未来」を象徴するものとして用いられています。

特に中東・アフリカ・一部アジアでは、緑が宗教や自然、そして再生を象徴する色として重視される傾向があります。


「黄色/金色」は“太陽”か“王権”か?

金色や黄色は、明るく輝く印象とともに、強い権威や歴史的な背景を持つ色です。

  • ドイツ:黒・赤・金の三色は、自由と統一の象徴であり、黄色(金)は市民革命の精神を意味します。
  • バチカン市国:黄色と白の二色はカトリックの象徴色であり、教皇の鍵と精神的支配を意味します。
  • ベトナム:赤地に黄色い星は、社会主義国家の統一と、労働者階級の団結を示しています。

黄色は太陽や光といった自然的な象徴に加えて、「富」「王権」「信仰」といった価値観にも結びつきます。


その他の色にも意味がある!

  • :アフリカ諸国では、黒は民族や大地を表す象徴的な色。
  • :平和・純潔・中立の意味を持つことが多く、スイスや日本、バチカン市国などで象徴的に使われています。

色の意味を知れば、国旗はもっと面白い

国旗の色には、国の過去と未来、民衆の願い、宗教的背景、政治的イデオロギーなど、さまざまな意味が込められています。
同じ「赤」でも、それが太陽なのかなのか、革命なのか王権なのかは、背景を知ることでまったく異なるストーリーになります。

旅先で国旗を見るとき、スポーツで掲げられる旗を目にしたとき、
その「色」が何を意味しているのか、ちょっとだけ考えてみてください。

国旗は無言のメッセージ。色は、その国の心の声なのです。

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